2011/03/29

神の子どもたちはみな踊る

村上春樹に「神の子どもたちはみな踊る」という短編集がある。
一番目の作品は「UFOが釧路に降りる」という題名の話。
この中に阪神淡路大震災の折りに、ずーっとテレビのニュースを見続け、そのあと失踪してしまう女性が出てくる。

あの震災からの数日間、僕もずーっとテレビのニュースを見続けて、ああ、読み返さなきゃな、と思っていたのだが、やっと本の山の中から発掘して読むことができた。

何回読んでもよく分からない話なのだが、やっぱり、今回もよく分からなかった。
なぜ、二人の女性はまるで双子のような印象なのか。汚いラーメン屋は何のメタファなのか。どうして片方の女性と性交を試みることになるのか。

おおむね、よくわからないのだが、腑に落ちるところは以前より増えた気もする。
テレビを見続けたのち実家に帰ってしまった妻が「死んでしまった」ことになっている点や、箱の中身が空っぽに感じられるところ、UFOに連れ去られてしまったかもしれないサエキさんの奥さん、そして、最後にシマオさんが胸の上に描く複雑な模様。

そういったところは、たしかにこのように書くべきところだ、というふうに、しっくりと納得することができる。

震災について物語るときに、このような形で物語ることを決めた村上春樹に、改めて尊敬の念を寄せる。

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