昨晩の話。
寝入りばなに隣で寝ている娘が、耳が痛いと訴える。
普段はこんなこと無いので、どうしたのかと思う。
夜の12時をまわっているので、どうしようかと思ったのだが、どうしても痛いというので階下に降り、綿棒を持ってきて電気を点け、耳をかいてみる。
少しは耳かすが取れるが、特に大きなものは無い。
深くまで入れるわけにもいかないので、とりあえず、耳掃除したよ、と説得して再び寝せる。
なお、痛いと訴える。
妻は耳掃除が得意なので、お母さんにみてもらおうか、と提案し、二人で階下に降りる。
妻と二人で娘の左耳をのぞき込むが、特に何か見えるわけでもない。
スマホで夜間救急を探してみるが、公立の大きな病院に行くしかないようだ。
この病院は地域医療の基幹病院になっているので、通常は紹介状がなければ診てくれないのだし、そもそも夜間救急など行ったことがない。
妻と二人で、朝になったら耳鼻科に行こうとなだめて、みたび寝せる。
耳を触っていて欲しいというので、温めるように触るが、どうしても痛みが引かないようだ。どうにもならないんだよ、と何度か説得するが、シクシクと泣き出す。
病院に連れていくことにする。
妻は朝から仕事なので、寝ててもらう。
この時点で1時過ぎ。
深夜に外に出ることが無いので、娘は少しウキウキしているようだ。
星が綺麗だねぇ、とか、夜もけっこうお店が開いてるねぇ、とかのんきなことを言う。
15分ほど車を走らせ、病院に着く。
適当に駐車場に車を停め、抱っこ移動で歩くが、そもそもどこが夜間救急の入り口なのか分からない。もちろん正面玄関は開いていない。
裏の方に回り込んで、看板を見つける。
自動ドアが開くと、守衛さんが事情を聞いてくれる。
奥の自動ドアを指して、あのドアの向こうが夜間救急だと教えてくれる。
赤い線の入ったすりガラスの自動ドアを開けると、待合室になっている。
受付窓口に看護師さんがいて、話を聞いてくれる。
初診なので、診察券も何も無い。
受付用紙に電話番号を二つ書かねばならないのだが、慌てていて携帯電話を家に置いてきた。自分の番号しか分からない。
待合室には毛布にくるまった女性が二人、ソファに座っている。
テレビからは、バラエティ番組が流れている。関西訛りの芸人さんが、何か楽し気に話している。
しばらく待っていると青い動きやすそうな医療着を着た看護師さんが聞き取りに来てくれた。壁に貼紙があって、聞取りのうえトリアージを行います、と書いてあったので、これかなと思う。
娘の機嫌がおおむね良いので、何だか申し訳ない感じになる。
本当に痛いの?と何度も確認してしまう。
ヂクヂク痛い。と小声で言う。
しかし、機嫌は良い。熱も無い。血圧も正常値らしい。
夜間救急は、当たり前だが、ちょっと大変な事情のある患者さんが来ている。
聞くともなく、看護師さんと患者さん(の家族の方らしい)との話が聞こえてくる。何となく聞こえてくるだけだが、そりゃあ結構シビアな状況だよね、という感じだ。
そして、娘の機嫌は良い。
娘の耳元で、お医者さんも寝てるところを起きて診てくれるんだから、痛いところはきちんと痛いと言うんだよ、と説明する。
分かってるんだか、分かってないんだか、一応、うん、とは言う。
しかし、ここまでお世話してくださった皆さん、一様に感じが良い。
正面の大モニターに受付番号が写し出され、診察室に入るように指示される。
お医者さんは、若い男性の方だった。
丁寧に話を聞き取って下さったうえで、耳の中を覗く器具を使って、左右の耳を比べるように診てくれる。
専門外なんだろうけど、丁寧に何度も診てくれる。
左の鼓膜が赤くなっているので、明日、耳鼻科に行くように指示される。
とりあえず、鎮痛のために座薬を出してくれるという。
感謝して待合室に戻る。
また別の患者さん(の家族)がいて、看護師さんと話をしている。
その話もなかなかシビアな内容なのだが、口調がのんびりしているので、不思議な感じがする。
まあ、なかなか、本当に大変な時というのは、あんまり切迫した口調にはならないものなのかもしれない。
娘はもはや眠くなってきているのか、膝の上で横になっている。
お姫様抱っこ状態だ。
そうこうしていると、受付窓口から呼ばれる。
そして、医療費は無料だ。
いつも思うのだが、これだけのことをしてもらって、医療費が無料というのはとても座りが悪い。
もちろん、市の政策としてそうなっているわけで、病院としては患者からもらうか、税金からもらうかの違いだけなので、申し訳なく思う必要は無いのかもしれないが、にしても、こう、ちょっと、本当にこれでいいのか、という気分になる。
部屋の外の廊下で、ソファに座って待っていると、薬剤師の方が奥から歩いてきて、座薬を届けてくれる。
この時点で3時ちょっと前なのだが、病院というのは、一通りの役割を持った人がみんな起きているのだな、と思う。
勤務割がそうなっているのだろうけども、起きてるんだなぁ、と思う。
外に出ると、すっかり冷え込んでいる。
抱っこ移動で車に戻る。駐車場が広くて、車までが遠い。星は雲に隠れていて見えない。
帰宅。3時過ぎ。
眠そうなので、座薬を入れずに着替えさせて布団に入れる。
寝ようと思うと、まだ痛いという。
あらためて電気を点け、座薬を入れる。
前に入れたのは、もう1年以上前のことなので、本人としては初めて座薬を入れられる感じなのだろう。違和感があるようだった。あたりまえか。
その後、おとなしく眠る。
朝になる。
朝ご飯を食べて、身支度をし、すぐに耳鼻科に向かう。
向かいの小学校の校庭では運動会が行われている。
診察室に入ると、娘は看護師さんの膝に抱かれて先生の前に座らされる。
親は後ろの椅子にポツンと座る。
初めて行く耳鼻科だったが、高齢の先生が耳の中を機械で見て、すぐに「中耳炎だね。どうする。これ痛いだろうから、後で泣くか、今泣くかだな。じゃ、今だな。切っちゃうよ。(娘の肩越しに目線があうので、ええ、とか、ああ、とか何か言う)じゃ、切っちゃおう。」
ということで、すぐに膿を出すことにしたようだ。
火が付いたように娘が泣き出す。機械で膿を吸うジュルジュルいう音がする。
何が起きたかよく分からないが、終わったらしい。
そして娘はだいぶ痛いらしい。
月曜日来られるか、と問われたので、大丈夫です、と答える。
たぶん大丈夫だろう。
待合室で泣きじゃくる娘を膝に乗せ、携帯で「中耳炎」を調べる。
なるほど、そういう病気か。
治療法は、3日くらい様子を見て、その後、鼓膜を切開したりすることもあるらしい。
なるほど。
看護師さんが説明に来てくれる。
どういう病気なんですか、と聞いてみる。風邪をひいていると、鼻から耳にばい菌が入って炎症を起こすのだという。もう膿を取ってしまったから、抗生物質を飲んでもらって、月曜日にもう一回診察して、経過良好だったらそれでおしまい、とのこと。
髪を洗っても良いけど、水が耳に入らないように、と。
詳細はよく分からないけど、何をすれば良いのかは分かったので、頷く。
受付から呼ばれたので、行って診療明細を見たら、鼓膜切開と書いてある。
あ、もう切ったのか。麻酔なしか。そりゃ痛い。
娘はすでに泣き止んでいる。痛い?と聞くと、痛いと答えるが、さほど痛い様子でもない。そうか、そういうもんか。
今日は一日、元気に遊んでいたので、どうやらそういうものらしい。
以上、中耳炎の顛末でした。
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